節電対策の最初の一歩は「見える化」であることは間違いがありません。節電への対応が求められてくるにつけ様々な電力計測器が「スマートメーター」という名称で、世の中に出回るようになってきました。携帯電話がスマートフォンにとって代わられているように、スマートメーターをつけないと時代遅れのように思われている方が多いかもしれません。しかしスマートメーターを取り付けようとするとそれなりに費用が必要となり、企業の社長さんに金額を聞くと中小企業が負担するには決して少なくない金額です。しかしこれまで説明してきた通り、現代の省エネ、節電は以前のように総量を抑制することに重点を置いているのではなく、あくまでもピーク時の電力をどう抑えるかがポイントです。ピーク時の計測と分析が終わって対策を講じた後は、もはや常時観測する計測器は必要ないのです。電力がピークになる原因が分かった段階で計測器はその役目を終えるのです。私は一時的に利用して終わるような製品を買うことにとても抵抗を覚えるのですが、皆さんはいかがでしょうか。
電力を「見える化」するだけでは、ピークスライドも電気代削減もできません。大事なことは計測に極力コストをかけずに電力ピークを捉え、ピークスライド手法を検討することだと思います。
例えば、携帯電話業界では、お客様が現在自社以外の電話会社と契約している場合、その料金プランとお客様の使用実態を調べ、「わが社に乗り換えるとこれだけ安くなります」という提案をしています。これは一種の無料の「見える化」だと思います。電気料金の「見える化」も本来これとそんなに変わるものではありません。ただ、携帯業界のようになっていない訳です。競争があると、究極はフリー(無料)になっていくと思います。最近は「見える化」そのものを売りにして、電力計測メーターをそれなりの値段で売る業者がいるようですが、当社ではグループ会社の日本電気保安協会を通じて、電力測定器を無料で貸し出ししていますので、電気代の削減を考えている企業さんは一度ご利用頂ければと思います。無駄な費用をかけずに賢く節電して頂きたいものです。
図8:機器設置イメージ
出典:にちほシンクタンクにて作成
図9:計量イメージ
出典:にちほシンクタンクにて作成
- 売り手側の知恵に頼るな、買い手側が知恵を絞れ
- 03-1 売り手都合のピークシフトプラン、BEMS
- 03-2 電力ピークと電気基本料金
- 03-3 利用者主体での稼働設備調査と手法検討
- 03-4 「万が一のための非常ブレーキ」
- 03-5 「余裕を見た電力契約は不要」
経営戦略家。株式会社にちほシンクタンク、にちほエコ株式会社や株式会社日本電気保安協会などを傘下にもつ、にちほHD(Nichiho Holdings) CEO。 また社会福祉法人 七施 理事長として認可保育園を経営。 著書に「3%の経営発想力」、「儲ける社長の『頭の中』」、「利益を生み出す逆転発想」などがある。