現在、国が新しい電力会社を育成しようとしていますが、なかなか育ちません。逆に潰れたり解散した会社もあります。電力事業といっても発電機で電力を作ることには何ら問題はありません。問題は別のところにあります。
燃料になるガスや石油の価格が変動しても大手企業であれば燃料の備蓄等により、すぐに価格を変えなくても済みます。ところが小さな企業は、そのようなことができません。原油の価格に左右される発電事業は原油事業、燃料事業と言えます。新しい電力会社は規模が小さく原油の変動の波に呑まれてしまいます。自由主義社会ですが、新しく小規模な電力会社にも大手と同じ価格で原油を調達できるようにしなければ生き残れません。
例えばクレジットカードの電気料金の引き落とし手数料は、公的事業であるため大手も小さい会社も同じになっています。こんな小さなことからでも、育てるためのサポートが必要だと思います。
10大電力会社は競争がないので配電線は高い価格で貸し出しており新興電力会社に不利になっています。分離が必要です。
新しい建造物に電気を供給する配電線を10大電力会社が持っていますので、新興電力会社には配電申し込みが来ず、10大電力会社は無人の営業部隊を持っているようなものです。それゆえに発・送電を分離する別会社化と配電申し込みを入札制にするなどの公平なルールづくりが必要ですし、スタートを平等にする細かな配慮が必要と思います。
日本はサウジアラビアから約28%、アブダビから約20%の原油を輸入しています。
産油国によってはあと10年とか20年で枯渇してしまうところがあります。それに対してアブダビの埋蔵量は100年分と長いにも拘わらず、危機感を持ち、省エネで原油を使わない、再生可能エネルギーの環境未来都市をマスダールシティとして構築しています。
産油国に対して、原油の輸出にとどまらず日本に発電所をつくり、より付加価値がある発電事業の展開を私は提案しています。そうすれば原油の輸入を止められることがなく、いい競争相手ができて良い、とも思っています。
東工大・矢部教授が発明した「太陽光と海水を利用した循環型エネルギーシステム」技術は、海水よりマグネシウム(Mg)化合物を抽出し、太陽光レーザーでそれを精錬して、Mgエンジンや燃料電池にエネルギーとして利用するものです。これは循環型の代替エネルギー開発策として海外でも注目されています。
日本は発明に対して、なかなか助成金を付けない現状があります。
例えば日本が世界に先駆けるiPS細胞にかける予算は2010年度にやっと100億円を超えた程度ですが、アメリカでは2,000億円です。これはグーグルなどの民間寄付が集まっているからです。
私にはさまざまな人脈がありますので、実用化のための資金集めで貢献できれば、と考えています。
- 売り手側の知恵に頼るな、買い手側が知恵を絞れ
- 03-1 売り手都合のピークシフトプラン、BEMS
- 03-2 電力ピークと電気基本料金
- 03-3 利用者主体での稼働設備調査と手法検討
- 03-4 「万が一のための非常ブレーキ」
- 03-5 「余裕を見た電力契約は不要」
経営戦略家。株式会社にちほシンクタンク、にちほエコ株式会社や株式会社日本電気保安協会などを傘下にもつ、にちほHD(Nichiho Holdings) CEO。 また社会福祉法人 七施 理事長として認可保育園を経営。 著書に「3%の経営発想力」、「儲ける社長の『頭の中』」、「利益を生み出す逆転発想」などがある。